良い睡眠が未来に約束してくれること
2024/12/27

日本人男性が81年の人生を送ると仮定すると、そのうち25年と1日は睡眠に費やされ、日本人女性が87年の人生を送ると、26年と312日が睡眠に充てられていると言われています。つまり、私たちは人生の約3分の1を睡眠に使っているのです。
睡眠不足は、全身の倦怠感や免疫力の低下、イライラ、不安などの身体的・精神的な不調を引き起こし、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、うつ病などの精神疾患の原因となり得ます。また、不眠は社会生活全般に悪影響を及ぼし、他人との関係を楽しむ能力や仕事を完遂する能力も低下させることが明らかになっています。さらに、重度の不眠症患者の生活の質(QOL)は心不全患者と同等か、それ以上に悪化しているという指摘もあります。
長らく無生産と捉えられていた睡眠時間ですが、実はその逆であることが科学によって証明されています。質の高い睡眠は、未来の心身の健康、美容の向上、日中の高パフォーマンスを約束してくれるのです。
今回は、良い睡眠が未来に約束してくれる3つをご紹介いたします。
1.心と体を守る睡眠の力

アメリカで行われた大規模調査によると、睡眠時間が6.5〜7.4時間の人々が最も死亡率が低く、それより短くても長くても死亡率が高まると報告されています。また、国内の24,686人を対象にした疫学調査では、7~8時間の睡眠を確保している人々が最も抑うつ状態が低いことが明らかになっており、心身の健康維持には良質な睡眠が欠かせません。
2.美しさを底上げする睡眠の力

2013年にスウェーデンで行われた研究によると、睡眠不足の女性は瞼が垂れ下がり、目が充血して腫れぼったくなり、目立つクマができると報告されています。さらに、肌の血色が悪く、シワや小じわが目立ち、口元が垂れ下がることも指摘されています。適切な睡眠は正しい食欲の中枢維持につながり、体型維持にも貢献することが明らかになっています。
3.生産性をMAXに引き上げる睡眠の力

夜勤のある医師とない医師20名を対象にした翌日の覚醒状態を比較する実験が行われました。画面に図形が現れたらボタンを押す作業を90回繰り返すという実験で、夜勤明けの医師は夜勤がない医師に比べて反応が遅く、画面に図形が現れているにも関わらず4秒近く反応しないこともありました。これは、睡眠不足が集中力、注意力、記憶力の低下を招くことを示す明確な実験結果です。
日々の中で睡眠の時間と質を確保し、睡眠が持つ力を正しく理解して、明るい未来を引き寄せましょう。

睡眠コンサルタント 友野なお
睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットと重度のパニック障害の克服し体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。テレビ、雑誌など多くのメディアを通して、健康と美と睡眠の関連情報を国内外に発信しています。