ライフスタイル

2020.12.27

粉末?液体?おしゃれ着洗い?洗濯洗剤の選び方と漂白剤や柔軟剤の上手な使い方

日々新しい洗剤や柔軟剤が発売されていますが、メーカー各社が熾烈な広告合戦を繰り広げているため、どれを選んでよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

タオルやガーゼウェアの洗濯についても、

「どの洗剤が一番いいの?」
「洗濯石けんと洗剤って何が違うの?」
「マシュマロガーゼにはおしゃれ着用洗剤がいいの?」
「タオルに柔軟剤は使っちゃいけないの?」

なんて質問をよくいただきます。

そこで今回は、洗剤の選び方や漂白剤や柔軟剤の効果的な使い方などを、少し詳しく紹介します。

気になる項目をご覧いただき、洗剤を選ぶ際の参考にしてみてください。

粉末?液体?どっちがいいの?



洗濯に使用する洗剤は、大きく分けて「粉末」「液体」があります。 どちらを選べばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

まずは、粉末洗剤と液体洗剤の違いについての説明から始めていきましょう。

粉末洗剤とは?

「粉末」の洗剤は主成分や添加物を乾燥させて固形物にしたものです。

水に溶けやすいよう微粉末や顆粒状になっています。性質の異なる複数の成分を配合することができるため、液体と比べて洗浄力が高いのが特徴です。

その昔は固形石鹸を細かく砕いた「粉せっけん」が多く配合されていて洗剤が洗濯物に溶け残ることが多く、粉末は水に溶けにくいというイメージがありました。

しかし、最近では非常に溶けやすいよう工夫されており、普通に使っている分には洗剤の溶け残りが気になることはありません

液体洗剤とは?

「液体」の洗剤はそれぞれの成分を液状のまま混ぜ合わせたもので、例えるなら粉末の洗剤を水に溶かして濃縮した状態のようなものです。

溶け残りの心配がなく使いやすいのですが、長期間品質を安定させるために配合できる成分に制約があり、粉末と比べると性能が低くなる傾向があると言われています。

ただし、最近の液体洗剤はかなり性能がアップしていて、洗浄力だけなら粉末と変わらないものや、漂白や抗菌などの複数の成分が配合されたものもあるようです。

以前は約70%が水という液体洗剤がほとんどでしたが、最近では水の比率が約30%まで濃縮された高濃度処方のものが増えてきました。
また、第3の洗剤ともいわれる、液体を水溶性のソフトカプセルに入れたジェルボールと呼ばれるタイプもありますのでお好みでお選びください。

どっちがいいの?

洗浄力は粉末洗剤の方が高いですが、液体洗剤は原液を汚れに直接たらすじか塗りなどの液体ならではの使い方も出来ます。

粉末or液体は、それぞれに長所があるので、洗濯のスタイルや好みに合わせて選んでみてください。


蛍光剤入りの液体洗剤は取扱い要注意!



「蛍光増白剤」が配合された液体洗剤は、洗濯物の上に直接注いだり汚れた部分に直接塗り付けたりしたりすると白っぽいムラができることがあるため、取り扱いは要注意です。

「汚れに直接たらして一晩置いてから洗うと効果的」といった使い方を勧めているメーカーもありますが、これは無蛍光の液体洗剤の場合で、蛍光剤入り液体洗剤の場合は避けた方がよいでしょう。

蛍光増白剤とは?

洗剤には、粉末、液体ともに「蛍光増白剤配合」「無蛍光(配合されていない)」があります。

蛍光増白剤が配合されている目的は、洗濯で落としきれずに残った黄ばみなどの汚れを目立たなくするためで、その名の通り、紫外線を反射して「のようにり洗濯物をより白く見せる」効果があります。

蛍光増白剤は目に見えない染料の一種で、洗濯をしながら洗濯物を白っぽく染めています。そのため、一度使うとなかなか落ちません

注意するポイント

蛍光増白剤入りの液体洗剤を洗濯物に直接振りかけたり、汚れた部分に原液を塗り付けたりすると、洗剤が浸透した部分に蛍光増白剤がたくさん付着してしまうため、乾くとその部分だけが色褪せたように白っぽく見えるようになってしまいます。


蛍光増白剤入り洗剤を直接振りかけて洗濯した後の状態
(紫外線ライトを当てると蛍光増白剤が付着した部分だけ青白く光ります)


蛍光増白剤入りの液体洗剤を使う場合は、蛍光増白剤が洗濯物全体にムラなく付着するように、液体洗剤用の投入口に入れるか、水が十分に溜まってから洗剤を入れるようにしましょう。
なお、粉末の場合は水が溜まる間に溶けるのでそれほど気にする必要はありません。

蛍光増白剤が配合されている場合は裏面の成分表示に記載されていますので、購入前に表示を確認してみてください。


洗濯用洗剤と洗濯用石けんは何が違うの?



洗剤容器の裏面に書かれている品名には「洗濯用合成洗剤」「洗濯用石けん」など、記載に違いがありますよね。この違い、わかりますか?

洗濯用洗剤の区分け

洗濯用の洗剤は、家庭用品品質表示法という法律により、以下のような区分に分けられています。

界面活性剤が純石けん分だけのもの
= 洗濯用石けん

界面活性剤の70%以上が純石けん分で他の成分も含むもの
= 洗濯用複合石けん

界面活性剤に占める純石けん分の割合が70%未満のもの
= 洗濯用合成洗剤



簡単に言うと、

界面活性剤が石けん100%のもの
= 洗濯用石けん

界面活性剤に石けん以外の成分(化学合成された石けん的なもの)を混ぜているもの
= 洗濯用複合石けん、洗濯用合成洗剤


というように分けられます。

界面活性剤とは?

界面活性剤とは、水と油の境目(界面)を活性化して混ざりやすくする成分のこと。

その代表的なものが、油とアルカリ剤を混ぜて作られた石けんです。

石けんというと、手や顔を洗う四角や丸の固形のものをイメージする方が多いと思いますが、実は成分の名称でもあるんです。

その昔は界面活性剤といえば石けんだったのですが、技術の進歩とともに様々な種類の界面活性剤が使われるようになり、当時の社会背景などから法律で区分されたと言われています。

洗濯用石けんのすすぎは少し念入りに

洗濯用合成洗剤も洗濯用石けんも基本的に使い方は同じ洗浄力にも大きな差はないと言われています。

ただ、洗濯用石けんの方が洗濯物に残りやすい傾向があり、洗濯物の素材によっては石けんに含まれる油脂分が付着することがあるため、すすぎは少し念入りに行う必要があります。

また、海外ブランドの洗剤やエコをアピールしているような合成洗剤は純石けん分の比率が高いことが多く、洗濯石けんと同じように洗濯物に残りやすい傾向があります。

ちなみに、現在販売されている大手メーカーの製品はすべて「洗濯用合成洗剤」で、「洗濯用石けん」は会社名が「〇〇石けん」や「〇〇油脂」などになっている専業のメーカーが作っています。


おしゃれ着用洗剤でガーゼウェアを洗うのはアリ?



大事な服やデリケートな生地の服を洗う時には「おしゃれ着用洗剤」を使うという方、多いのではないでしょうか?

ガーゼウェアもおしゃれ着洗剤で洗っている方、ちょっと待ったです。 実は、おしゃれ着洗剤には向いている素材、向いていない素材があるんです。

おしゃれ着用洗剤とは?

おしゃれ着用洗剤とは、家庭では洗いにくいウールやシルクなどを洗うことを目的とした洗剤です。

通常の洗濯用合成洗剤や洗濯石けんの液性が弱アルカリ性であるのに対して、中性洗剤と呼ばれています。

弱アルカリ性の洗剤は油性の汚れやタンパク質の汚れを落とす効果があるため、ウールやシルクなどのタンパク質で出来ている繊維に使うことが出来ません

しかし、おしゃれ着用洗剤は液性が中性であるためウールやシルクを痛めることがありません

おしゃれ着用洗剤に向いている素材

「おしゃれ着」というと、デリケートな生地や構造の服を想像してしまいがちですが、実際にはウールやシルクなどの通常の洗剤で洗えない素材のことを指しています。

もちろんウールやシルク以外の素材にも使えますが、マイルドにしている分だけ洗浄力も低くなっているので、綿や麻、化学繊維などに使用してもあまりメリットはありません

意外と知られていませんが、一般的な洗濯用合成洗剤や洗濯用石けんには「綿、麻、合成繊維用」、おしゃれ着用洗剤には、「毛、絹、綿、麻、合成繊維用」と記載されています。このことからも、おしゃれ着用洗剤がウールやシルクを対象にしたものであることが分ります。



成分表示には書かれていませんが、衣類の型くずれやシワ、縮み、毛玉防止などを目的としてシリコーンなどの平滑成分が配合されています。

そのため、繊維が滑りやすくなって毛羽落ちが多くなったり強度が低下してしまったりすることもありますので、素材の種類に合わせて使うようにしてください。


洗剤は多いほどよく落ちる?



洗剤は油汚れを水に混ざりやすくしたり、汚れを分解したりするものなので、投入量が少ないよりは多い方が良いのですが、水の量に対して最適な濃度のバランスがあり、それを超えると効果はあまり変わらなくなります。

そのため、洗剤ごとに定められた適量を使用することが重要です。

現在市販されている洗剤はそれぞれ適量が異なっており、パッケージに洗濯物の量や水量に対する洗剤の使用量が表示されています。

一般に洗剤の適量は水の量に対してベストな濃度より若干高めになるように設定されているので、多少汚れがひどくても多く入れる必要ありません。

しかし、あまり汚れていないからといって入れる量を減らしてしまうと、十分な洗浄効果が得られない場合があります。

油汚れがひどい時は洗剤を多めに

油を水と混ざりやすくする作用だけは洗剤の量が多いほど高くなるので、洗濯物の油汚れがひどい場合に限っては、洗剤を若干多めに入れた方が洗浄効果は高くなります。

最近では洗剤別、洗濯機別の洗剤投入量に関するまとめサイトもあるようですので、こういった情報も参考にしてみてください。

面倒なら、洗剤少し多め+すすぎ念入り。

「いちいち細かく計ってられない!」、「洗剤を変えるたびに確認するのは面倒!」という方の場合は、洗剤を「少し多め」に入れて、その分すすぎを念入りに行うという洗濯方法がおすすめです。

洗濯の目的は汚れを落とすことなので、洗剤の量が不足して汚れが残るよりは、洗剤を多めに入れて後のすすぎで調整する方が、汚れがきちんと落ちます。


すすぎ1回でも本当に大丈夫?



節水、エコ、時短...いろいろな観点から「すすぎ1回でOK」を訴求する洗剤が増えています。

ただ、洗剤によっては「すすぎ1回でもOK」という表現が使われていたり「すすぎ1回だと抗菌成分が残る」という微妙な表現が使われているのを見ると、洗濯の条件によっては必ずしもすすぎ1回がベストではないとも受け取れます。

実際の洗濯では、洗うものの種類や量、汚れの度合いが毎回違うので、「すすぎ1回でOK」の洗剤を使う場合でもその時の状況に合わせてすすぎの回数を決めるのが良いでしょう。

特にタオルの洗濯はすすぎが命といっても過言ではないので、「すすぎ1回」の洗剤の場合は洗濯機の標準の設定のままで行うのがおすすめです。


粉末漂白剤と液体漂白剤それぞれの効果的な使い方



洗剤と一緒に使用する漂白剤のうち、色柄物に使える酸素系漂白剤には「粉末」「液体」の2種類があります。

どちらも同じ酸素系ですが、成分と液性、洗えるものが異なります。

粉末漂白剤はウールとシルクNG

粉末タイプは液性が弱アルカリ性で漂白作用が強いため、ウールやシルクに使うことはできません。対して液体タイプは液性が弱酸性で作用が穏やかなのでウールやシルクにも使うことができます

粉末はつけ置き、液体は直塗り。

通常は洗濯の際に洗剤と一緒に入れることが多いと思いますが、粉末タイプはつけ置き液体タイプは汚れに直接塗るのが最も効果的な使い方です。

酸素系漂白剤は温度が高いと効果も上がるので、つけ置きする場合粉末タイプを少し熱めのお湯(50度~60度)に溶かして使用するのがオススメです。

液体タイプ飲料や食品、血液などの汚れに直塗りするとピンポイントで汚れを分解してくれます。怪我の消毒に使うオキシドールと同じ成分なので、汚れと反応して白い泡が立ちます。

ただし油や無機質の汚れは落とせないので、油汚れやファンデーションなどの汚れには無蛍光の液体洗剤を直接塗るのがよいでしょう。

金属パーツにご注意

酸素系漂白剤を使用する際には、金属パーツにご注意ください。

酸素系漂白剤は金属と反応すると酸化力が強くなり生地を傷めてしまうことがあるので、金属製のファスナー、ボタン、ホック等が付いたものには使わないようにしてください。


毎回柔軟剤を使うのはNG



最近は衣類のケアよりも香りを付けることを目的に使われることも多くなった柔軟剤。

柔軟剤という言葉と「ふわふわになる」というイメージの宣伝で誤解されることが多いですが、本来は傷んで滑りが悪くなった繊維の表面を保護して滑らかに整えるものです。

例えるなら荒れた手に塗るハンドクリームのようなものなので、表面はすべすべになりますが、繊維自体が柔らかくなるわけではありません

柔軟剤を使いすぎると?

柔軟剤を使いすぎると繊維や糸が滑って抜けやすくなってしまい、生地や縫製の強度も低下してしまいます。さらに、柔軟剤の成分は水を弾くため、使いすぎると吸水性も失われてしまいます



柔軟剤の正しい使い方

あくまでも柔軟剤は滑りの悪くなった繊維を復元するためのものなので、正しい使い方は、「肌触りが硬くなってきたと感じてから」「必要な量だけ」です。

洗濯物の素材や洗い方にもよりますが、最近の柔軟剤は1度と使うと洗濯2~3回くらいまで成分が残るので、必ずしも毎回使う必要はありません。肌触りの硬さが気になってきた時滑らかさがなくなってきたと感じた時に、まずは1回だけ使うようにしましょう。

また、全自動洗濯機の場合、柔軟剤は最後のすすぎで投入されるので、全体にムラなく付けるためには、水量の設定を多めにして、柔軟剤が水に均一に混ざるようにするのがポイントです。

水量を増やすと効果が小さくなると思うかもしれませんが、柔軟剤の成分は綿などの繊維と磁石のように引き合うため、薄められても付着する量は変わりません。逆に水が少ないと柔軟剤が混ざる前に洗濯物に付着するためムラになってしまいます。

綿や麻に使う時はここにご注意

なお、綿や麻の製品に柔軟剤を使用すると、コーヒーや紅茶などの色素が付着した場合に落ちにくくなるのでご注意ください。


おまけ:洗濯絵表示の正しい見方



2016年の法改正により、衣類などに縫い付けられている取扱い表示記号(洗濯絵表示)が大幅に変更されました。

これまでの日本独自のマークから国際規格のマークに変わり、種類も増えましたが、意味するところも以前とは若干変わっています

従来の表示は「推奨する取扱い方法」でしたが、新しい表示では、消費者により正確な情報が伝えられるよう、可能な範囲の上限が表示されるようになりました。

例えば、従来の表示の場合は洗濯機で普通に洗えるものに「手洗い」の表示がされていたり、水洗いできる素材にドライクリーニングの表示がされていたりするケースもありましたが、新しい表示では、「これ以上厳しい条件の取り扱いは出来ない」という内容に変っています。

表示よりも厳しい条件で取り扱うと洗濯物にダメージ与えてしまう可能性があるので洗濯前の洗濯表示確認をお忘れなく。

くわしくは 「 新しい洗濯表示(消費者庁)」をご覧ください >


まとめ

洗剤については、洗浄力を重視するなら粉末の合成洗剤が間違いありません。
国内大手2社のものでれば、特売品でも洗浄力は十分にあります。

便利で使いやすいという点を重視するなら液体洗剤がおすすめです。
液体についてはできるだけ無蛍光のものをお選びください。高濃度処方の超コンパクトタイプとレギュラータイプはお好みで構いませんが、現在は超コンパクトタイプに無蛍光のものが多いようです。

洗濯石けんは、洗濯物の生地の素材や加工によっては若干残りやすい場合があるので、その分だけすすぎを念入りにするなど、工夫をしながらお使いください。

また、タオルやガーゼにおしゃれ着用洗剤を使うのは避けた方がよいでしょう。

漂白剤や柔軟剤は目的に応じて適切な方法で使えば効果が得られますが、使い過ぎや誤った使い方はトラブルに繋がることがあるので注意しましょう。

洗剤や漂白剤、柔軟剤はとてもたくさん種類が販売されているため、どれを選んでよいのか迷ってしまいがち。
それぞれの目的と基本的な性質を理解すれば、魅惑的な宣伝に惑わされることなく自分のスタイルや好みに合わせて適切なものが選びやすくなりますよ。